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20241/9

2023年映画のおはなし。

あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。
昨年は珍しく劇場での映画納めでした。普段は配信中心の鑑賞ですが久々にいくと特有の空気感が良いですね。

さて、2023年の鑑賞本数は83本と例年に比べて少なめでした。制作期間中など映画を観ない(観られない)時期が長かったことが主な理由だと思われます。y.u mobileと契約した関係でアマプラ以外にU-nextも見放題になり、一昨年より環境は充実しました。劇場公開から間もない作品も、早い段階で観られるようになり嬉しい限り。

それでは2023年に鑑賞した映画作品からベスト4を。
少々中途半端な数ですが、ベスト4以降は珍しく評価が並んだためです。
ネタバレを含む詳細な感想はFilmarksに。ご興味ある方は作品タイトルのリンクからご覧ください。

『しゃぼん玉』2017年公開/日本

 女性や老人を狙った引ったくりを繰り返す男”イズミ”「ナイフを見せればもっと簡単に奪えるかもしれない。」そう考えた雨の日の夜、彼は遂に人を刺した。動揺して逃げ出し辿り着いた先は宮崎県の山奥。偶然乗り捨てられたスクーターを見つけ逃走に利用しようと手をかけたその時、草むらから呻き声が聞こえてくる。そこには怪我をした老婆スマがおり、イズミに助けを求めていた。なんで俺が…そう思いながらもイズミは仕方なくスマを助けるのだった。図らずもスマの家に身を寄せることになったイズミ。スマや村人との交流、椎原祭の手伝いを通し、やがて彼にも変化が訪れる。


2023年が始まって僅か12日で決定した私のベスト1。市原悦子さんの遺作、それだけで私にとっては特別ですが、それを抜きにしても素晴らしいヒューマンドラマでした。この映画がもつ説得力の理由は、視聴者がスマと同じ速度・同じ目線で伊豆見を知り、そしてまた伊豆見と同じ目線でスマを知ることができる、丁寧かつ巧みな人物描写にあると思います。

主人公の伊豆見は”卑劣な犯罪者”に違いないけれど、犯罪者である前に血の通う人間である。そう思えるのは当たり前のようで凄いことだなと。奇妙な同居生活の些細なエピソードにも登場人物のバックグラウンドが垣間見える。映画だけど見せ方に妥協がなく、映画であることに頼らない名作。とても好きです。

『ラーゲリより愛を込めて』2022年公開/日本

 第二次世界大戦後の満州。ソ連による突然の空襲で家族と離れ離れになった”山本幡男”は、多くの日本人と共にソ連の収容所に送られることとなる。食事もまともに摂れずに過酷な労働を強いられる生活の中でも、彼は希望を失わずにいた。

時が経ちようやく解放されるかに思われたが、山本と一部の日本人は港へ向かう汽車から降ろされてしまう。そこから送られたのはラーゲリ収容所。こじつけにも思える不当なスパイ容疑をかけられた山本は、20余年に及ぶ長い強制労働を課せられることになる。


ベスト2はこちら。すみません正直ナメてました。エンドロールで本当にそう思った作品。忌憚なく書くと主人公である山本の人物像にはもっと説得力がほしかった。それでも高く評価したいのは安田顕さん演じる”原”があまりにも印象的だったから。山本とは対照的な人物で抑留生活の悲惨さを体現する重要な役どころ。尊厳を踏みにじられながら生にしがみつく姿は衝撃的でした。

どうもタイトルの印象から敬遠しているという話をよく聞くのですが、騙されたと思って一度鑑賞することをおすすめします。結構良い方に騙されると思うんだけどな。

『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』2020年公開/ロシア・ドイツ・ベラルーシ合作

 ナチス親衛隊に捕まったユダヤ人の青年”ジル”は、荷車で乗り合わせた男からペルシャ語が書かれた本と食べ物の交換を打診される。一度は断るが高価な品だと説得され本を受け取ることに。やがて荷車から降ろされ次々とナチス親衛隊に銃殺されていく人々。いよいよ自分も…というタイミングで、ジルは先程の本を根拠に「自分はペルシャ人だ」と決死の嘘をつき処刑を免れる。収容所に連行されたジルを待っていたのは終戦後は料理人になりたいと話すコッホ大尉、ジルはできもしないペルシャ語を教えるよう命じられてしまう。


上映館が少なく劇場での鑑賞を諦めた名作がベスト3。コメディのようなあらすじですが「命がけ」、こんなに緊迫した語学レッスンなかなかないでしょう。主人公ジルは限られた環境のなか血の滲むような努力で、教えた内容の整合性を保ち、生き抜くことを決めますが…大尉は笑っちゃうくらい学習意欲が高いです。月日を経て関係にも変化がおき、大尉はジルに信頼を寄せ始めます。2人の関係性にも注目して観てほしい作品。

『PLAN 75』2022年公開/日本・フランス・フィリピン・カタール合作

 高齢化が進み経済的合理化のため、75歳以上が自由に死を選択できる制度”PLAN75″が可決された世界。ホテルの清掃係を雇い止めになりやむなくPLAN75に申し込んだ78歳の主人公”角谷ミチ”、唯一の肉親である叔父がPLAN75に申し込んだことを知り複雑な思いを抱く、PLAN75契約受付業務に携わる男性社員”岡部ヒロム”、母国にいる娘の医療費を稼ぐ割のいい仕事として、PLAN75関連施設で働くことになった外国人労働者”マリア”。それぞれの視点で物語は展開していくが、PLAN75という選択死をリアルに感じはじめた彼等の答えとは。


世にも奇妙な物語的なテイストのディストピア作品。 コンパクトな作品ですが妙にリアリティがありました。実際に存在したらこういう広報しそうだなと…。自由意志、個人の選択に見せかけてそれとなく制度を利用するように誘導する様子が生々しい。主要人物に感情移入して考えてみてほしい。私は少し価値観が変わってしまいました。PLAN75、あなたは利用しますか?

以下はその他、印象に残った作品。

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』2023公開/日本・アメリカ合作
マリオだって最初からヒーローだったわけじゃない!当たり前のようで意外だった有名ゲームの映画化。随所にみえるこだわりが良い。個人的にはピーチがお姫様になった経緯や、国を救いたいと強くなった動機づけが好きだったな。ゲームより強い女の子として描かれているけど、この作品に合う設定かも。しかし全体的に質感が素晴らしい。ゲッソーのぷるぷる感が忘れられない。

ドライビング Miss デイジー』1891年公開/アメリカ
プライドが高い老婦人と気さくな黒人運転手。最初は断固拒否って感じなのに、徐々に心を開いていくツンデレおばあちゃんデイジーが可愛らしい。2人の温かい時間が心地よい。シチュエーション的には『グリーン・ブック』など好きな方におすすめ。

サンタ・ボックス』2020年制作/アメリカ
隠れた名作でした。ビデオスルーなのかな?配信が中心のようです。ベタな展開だけどそこがいい。登場人物も魅力的、ファミリーで楽しめるクリスマス映画。サンタ・ボックスという箱の中に願い事を書いた紙を入れて玄関に出して置くと、その願いが叶う…そんな箱を貰った女の子の話。

トゥルーノース』2020年公開/日本、インドネシア
3Dアニメーションだからマイルドになっているけど、それでも非常に息が詰まる90分。でも映画と同じことが起こっているかもしれない。おすすめというよりは一度知って欲しい作品という感じ。ただし心に余裕があるときに。

ONODA 一万夜を越えて』2021年公開/フランス、日本、ドイツ、ベルギー、イタリア
日本兵、小野田少尉の半生を描いた作品。80〜90年代の邦画を思わせる画面作りで、全編日本語、俳優陣にも日本人を起用しているけれど、同じく海外から日本を描いた作品『MINAMATA』とは対照的です。多少脚色されているものの小野田少尉の半生を知るには十分な内容、長尺だけどその点も含めておすすめ。見どころは鈴木紀夫氏との2ショット写真の再現度。

スワンソング』2022年公開/アメリカ
ちょっと変わったロードムービー。ウド・キアの妖艶な演技が見どころ、パットの人物像をよりリアルに感じられます。ビビッドな映像、浮遊感があるストーリーはなんとも不思議。夢と現実が混ざり合うようなアンバランスさが特徴的でとても好き。

バック・ドラフト』1991年公開/アメリカ
アトラクションにまでなっているというのに、実は観たことがなかった超有名作。映像凄かったですね…炎は生きている。マジで。その点もさることながら人間ドラマが素晴らしく、序盤から兄と弟の絆が丁寧に描写されています。兄弟いいなぁって思っちゃう。

デンジャラス・ビューティー』2001年公開/アメリカ
サンドラ・ブロックを楽しむ映画。コメディ部門で体を張り、ビューティー部門でも大変身よ。今年引退を表明したマイケル・ケインも重要な役どころとして出演、2人の友情にも注目。脚本術の本で度々お手本に挙げられている作品で展開の面白さはお墨付き。現代となってはありきたりなストーリーラインに思えるかもしれないけど、これぞハリウッド映画の元祖なのでしょう。

みかんの丘』2016年公開/ロシア、グルジア、エストニア
ジョージアとアブハジアの紛争に巻き込まれつつある村で、みかん箱を作り続けている老人イヴォが、ある時負傷したジョージア兵と、アブハジアを支援するチェチェン兵を助けるお話。小さな家の中でいがみ合う二人は一触即発。それでもイヴォは別け隔てなく看病して2人を助ける。素朴な作品ではあるけど育まれていく3人の友情がなんとも言えず良いのだ。


『キンダ・ガートン・コップ』シュワちゃん観てるなって気持ちになれる。
『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』せつないのよこれが。
『ビューティフル・レターズ 綴られた言葉』ストーリー超よかった。
『グーニーズ』実は初見。お兄ちゃん達も一緒に冒険する展開好きだったな。
『劇場版ごん GON, THE LITTLE FOX』ビジュアルで敬遠してたけど作り込み凄かった。
『TANG タング』本編も面白かったけど序盤で二宮くんが遊ぶARゲーが気になります。
『対峙』銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による対峙、ワンシチュエーション、良作。

【その他鑑賞作品】
『SING/シング』『すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』『トランスフォーマー』
『コリーニ事件』『コードネームU.N.C.L.E.』『アクト・オブ・キリング』
『アイム・ノット・シリアルキラー』『チョコレートドーナツ』『swallow』『Coda あいのうた』
『83歳のやさしいスパイ』『僕たちの城』『望み』『海賊じいちゃんの贈りもの』
『39 刑法39条』『ニコラス・ケイジのウェザーマン』『戦場のおくりびと』
『ワールド・トレード・センター』『ユナイテッド93』『梅切らぬバカ』
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『TIME/タイム』『ズーム/見えない参加者』
『エレファント・マン』『生きる』『僕はラジオ』『アフター・ヤン』『ピザ!』
『HOKUSAI』『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』『チリ33人 希望の軌跡』
『名付けようのない踊り』『途切れない電話/Call Waiting』『ぶあいそうな手紙』
『ミス・シェパードをお手本に』『護られなかった者たちへ』『きさらぎ駅』
『罪の声』『ピンク・クラウド』『異動辞令は音楽隊!』『ジオストーム』
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』『Dr.コトー診療所』
『コロニアの子供たち』『対峙』『ターミナル』『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』
『スマホを落としただけなのに』『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』『メタモルフォーゼの縁側』『ストーカー』
『渇水』『えちてつ物語〜わたし、故郷に帰ってきました。〜』『スティーラーズ』
『ザ・ホエール』『似ている』『バッドガイズ』『フェイス/オフ』『パリタクシー』
『ブラック・レイン』『あの花の咲く丘で君とまた出会えたら』

【再鑑賞】
『ポセイドン・アドベンチャー』『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』
『アザーズ』『永遠のこどもたち』


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