◆今回の目的◆
CD及びグッズを自宅から匿名配送で特定の海外支援者の元に届けること。
※国内への匿名配送も流れはほぼ同じです。
私達はプログレッシブ・メタル・プロジェクトRelease Hallucinationです。
音楽制作をしており、主な頒布物はCD、DLカード、グッズです。
通常海外向けにはデジタル配信やサブスクリプション、国外発送可能な全国CDショップや同人音楽取り扱い店を介して作品展開をしている為、個人通販は基本行っておりません。
しかしRelease Hallucination pixiv FANBOXでは、「作品取り置き」「グッズ割引」という支援特典を用意しています。（特典の内容は支援コースに準ずる）これらの特典は主にM3やコミックマーケットといった、日本国内の同人イベントへの適用を前提としています。ですが、それでは海外から支援してくださっている方が支援特典を充分に活用できないので、今回は海外から支援してくださる皆様にも特典を使用していただけるよう、ショップを介さない形での海外発送を試みることにしました。イベントで作品が完売してしまうと送ることができないので、希望者には事前に取り置きに申し込んでもらい、後日グッズ割引を適用した価格で購入してもらうことに。
私達は事務所に所属していない完全な個人レーベルなので、対外的に公表できる住所を持っていません。その為メンバーの個人情報が保護できる配送方法を希望していました。そこで思い至ったのがBOOTHを利用した匿名配送＋限定販売です。※サービスの概要については後述。幸い送りたい方達はFANBOX支援者なので全員pixivIDを持っていました。今回の方法には「転送サービスの利用」と「BOOTHからの購入」両方を承諾してもらうことが必須です。予めかかるお手間と、かかる可能性がある費用についてご案内した上で、了承していただけた方にのみ展開しました。
BOOTHの匿名配送やシークレット公開機能について、備忘録も兼ねてこの記事に書き残したいと思います。
私達の場合かなり特殊な状況下での利用ですが、この記事がどなたかのお役に立ちましたら幸いです。
※仕様が変更されることもあるかと思います。こちらは2019年5月時点での情報です。
※BOOTH開設方法や送料が異なる複数商品を購入する場合については触れていません。
各サービスの名称と概要
【BOOTH】
pixivと連携したショップサービス。
【あんしんBOOTHパック】
BOOTHがヤマト運輸と提携して提供している匿名配送サービスの名称。
【転送サービス】
利用者が登録することで転送用住所を取得できるサービスの総称。
仮に”日本に居を構えるA店”が国内配送しか行っていない場合でも、利用者が転送サービスに登録して日本国内の”転送用住所”を取得・使用することで、現住所が日本国外にあっても商品を手元に届けることができる仕組み。※BOOTHと提携している転送サービスに転送コムがある。
今回の流れ
利用者（予め転送サービスで転送用住所を取得。）
↓
Release Hallucination（BOOTHシークレットショップを制作、合言葉とURLを利用者に連絡）
↓
利用者（BOOTHシークレットショップから取り置き商品を購入。その際は配送先に”転送用住所”を入力する）
↓
Release Hallucination（あんしんBOOTHパックで発送）
↓
ヤマト運輸（荷物を預かり、転送用住所へ配達）
↓
転送用住所（荷物を受け取り利用者宅へ転送）
↓
利用者（転送先住所を経由し、Release Hallucinationから送られてきた荷物を受け取る）
1.BOOTH Appsを設定し、パスワード付きショップを開設できるようにする
私はBOOTH Apps＝BOOTHの有料追加機能と認識しています。
月額￥540でパスワード付きの購入ページが開設できます。（1週間の無料期間あり）
BOOTHに既にショップを持っている方であれば、BOOTH AppsのページからAPPを設定するだけで使えます。
基本的な使用方法についてはページ内で解説されています。
※BOOTH開設方法についてはここでは触れません。公式ページをご覧ください。
2.BOOTHでパスワード付きショップを開設する
2-1.商品管理ページから商品登録をします。
2-2.「自宅から発送商品を登録」を選びます。
2-3.商品登録
任意で商品情報を登録していきます。
商品名、商品画像、価格、カテゴリ、在庫数、送料の設定は最低限必須かと思います。
2-4.送料の設定
重要なのが【送料】の設定です。
【送料・発送サイズを変更】をクリックすると、以下ような選択肢がでます。
今回は匿名配送にしたいので、ここで【あんしんBOOTHパック】を選択します。
あんしんBOOTHパックを利用する場合、「配送方法に基づいた送料をとる」のみ選ぶことできるようです。
続けて荷物のサイズを選択します。箱サイズと送り先によって送料が異なります。
【余談】私は自分の送りたい荷物の箱サイズが解らず、ここで一度躓きました。
購入希望者により購入希望アイテムも個数も違ったので、正確な箱サイズがわからず…。
結局送りたい物を全部持ってヤマト運輸宅配センターに相談に行きました。
親切に箱サイズを教えいただけたし、近日中に企業提携の荷物を複数個持ち込む予定があることを会話のなかで伝えていたので、実際に持ち込んだ時、顔や相談内容を憶えていてくれた方が対応にあたってくださり手続きがとてもスムーズでした。また、事前に空いている時間帯や、事前連絡をしたほうがいいか等、お話を伺えたのも良かったです。
2-5.シークレット公開を設定する
シークレット公開をONにすると、「合言葉の問い」「合言葉の答え」が入力できるようになります。私達の場合は管理がしやすいよう単純にPINとして4桁の数字を設定しました。
全ての設定を終えたら【公開で保存する】を押す、ショップ開設は完了です。
購入希望者にショップURLと合言葉を伝えます。※ショップURLは公開後も商品管理画面で確認できます。
3.購入ページはどのように見えるのか
3-1.合言葉を入力してショップページにアクセス
以下の画像は購入希望の方々へ実際に送った解説画像です。
英語併記していますが英語圏の方だけではない為、視覚的な分かりやすさを心がけました。
購入希望者がURLにアクセスすると、まずは合言葉を訊かれます。
2-5で設定した「合言葉の問い」が「Please enter your PIN」にあたります。
枠内には「合言葉の答え」を入れてもらいます。
3-2.商品をカートに入れる
購入希望者様ごとに個別でショップを作ったので、その方が購入する商品をセットにして在庫数1で販売しています。事前に内容や金額は伝えているので、そのままAdd to Cartを押して貰えれば大丈夫という状態です。
3-3.支払い方法を選択する
次に出てくるのが支払い方法の選択画面です。
今回は日本国外に在住している方を対象としているので、あらかじめPaypalかクレジットカード支払いを選択してもらうよう併記、楽天ペイや銀行・コンビニ決済は省きました。先述の通りFANBOX支援者の方なので、Paypalとクレジットカード両方使えないという方はいない前提です。
3-4.届け先を指定して注文確定
ここで入力してもらうのは購入希望者の自宅住所ではなく、転送サービスで取得した転送用住所です。
必要事項を入力したら確認画面を経て注文完了です。
◆転送サービスについて◆
BOOTH提携の転送サービスが転送コムである為、「転送コムを利用すれば海外からでもBOOTHで商品が購入出来る。」と公式ページには書かれています。
当初は転送サービスのことをよく理解していなかったので、転送コム以外が対応しているのかわかりかる状態でした。今回たまたま購入希望者様の中に、転送コム以外のサービスを利用したいと申し出てくださった方がいた為、BOOTHに問い合わせをいたしました。確認をしたところ日本国内の転送用住所を注文フォームで入力できれば良いので、他の転送サービスも問題なく利用できるとのことでした。
4.購入されてからやること
4-1.ショップで商品が購入されたらメール通知が届く
購入希望者がショップで購入をすると、BOOTHからメールが届きます。
4-2.注文一覧にアクセス
メール本文に商品管理ページのURLも書かれおり、クリックすると注文一覧のページにアクセスできます。
あんしんBOOTHパックでは双方の個人情報が匿名となり保護されます。
今回の場合、出荷元がRelease Hallucinationであること以外、私個人の住所や連絡先は購入者に伝わることはないし、また購入者の氏名や住所、連絡先が私に伝えられることもありません。
その為、ここで記載されているユーザー識別コードや、注文番号、合計金額を頼りに出荷することになります。
件数が多い場合、特に管理に気をつけたほうが良さそうです。
4-3.注文詳細を見る
4-2の画像に「注文詳細を見る」「二次元コードを発行する」というボタンがあります。
【注文詳細を見る】
ここでは注文の詳細が確認できるのですが、ただ確認するだけではなく変更可能な項目がいくつかあります。
中でも品名の項目。デフォルトでは品番のみが入力されています。しかし送る物に合わせて入力することが出来るので、品番は管理のためにも残した上で、追記すると良いのではないかと思います。私達が送る物は主にCDかTシャツ等の衣類なので、CD・衣類＋品番としました。またCDなどワレモノの場合は、ここで荷扱いを設定することができます。
4-4.二次元コードを発行する
【二次元コードを発行する】
「二次元コードを発行する」をクリックすると、このようにQRコードが表示されます。
これをヤマト運輸宅配センターに置いてある「ネコピット」という端末で読込むことで送り状が出力されるシステムです。スマートフォンから直接かざしても良いのですが、複数件開きなおすのは電波状況によっては時間がかかるかも…と思い、私は紙面に印刷して荷物とセットにしていきました。9割梱包済みの箱を口だけ閉じずに持っていき、印刷したQRコードの紙を中に入れておけば取り違えもないだろうということで。宅配センターにガムテープごと持っていき、手続きしながら1箱ずつ封をしていきました。
なお、QRが上手く読み込めないときは受付番号とパスワードで送り状出力できるようです。
こちらについては今回使用しなかったので、このページでは触れていません。
※画像のQRコードはダミーなのでご安心を。リリハルのHPに飛べます…笑
5.荷物を準備したらヤマト運輸宅配センターへ
5.ネコピットを使う
コンビニなどでも送れるようですが荷物も大きく複数個あったので、私は車に積んでヤマト運輸宅配センターに行きました。私の近隣店舗は14～16時頃が比較的空いているというお話だったのでその時間帯に。
ネコピットの操作方法についてはBOOTHの「ヤマト営業所（ネコピット）の操作方法」というページにまとめられています。送り状を出力したら、あとは宅配センターの方に託して帰宅します。
6.発送完了通知
6.発送完了を通知する
帰宅したら「発送完了を通知」をクリックします。これを押さないと発送をしたことにならず、売上も受け取れないようです。同時に購入者にも発送された旨が通知されます。これとは別に購入者にメッセージを送ることもできるので、手元に届いたら内容に問題が無いか確認してもらえるよう一言伝えておくと良いと思いました。（国によって荷物の扱い方に違いがあります、海外に送る時は梱包しっかりめがおすすめです。）
7.BOOTHで匿名海外発送をして思ったこと
難点「購入者側の負担が大きい」
今回の方法は購入希望者が送料や転送料を支払う金銭的負担、転送サービスに登録する時間的負担が大きく、送る側もそれなりの時間を割く必要があり手軽な方法とは言えません。あくまで「それでも欲しい」と言ってくださる方々に向けて提案出来る、方法の1つに過ぎないと思います。
私達の購入希望者は全てFANBOXで支援してくださっている方々でしたので、今回は彼らが私達に使ってくれた支援金の一部を送料に充てることにしました。送料については、購入希望者が使用する転送先住所が日本のどこにあるのか出荷側には通知されない為、事前に正確な送料を把握することは出来ません。転送サービスでかかる手数料などについても同様に私達が把握はできないので、全ての方に極力損がない価格分、還元額は一律といたしました。
これはFANBOXで支援を続けてくださっている方々だったからこそできる対応であり、非支援者であったなら難しかったと思います。
送料の壁ばかりはいかんともしがたく本当に難しい問題ですが、手間は惜しまないという前提でCD数枚、ネコポスなどで送れる荷物であれば或いは、自宅からの匿名海外配送も可能なのでは？という、活路を見いだすことも出来ました。
実際に海外在住でフィジカルメディアが欲しいと連絡をくださる方が、かなり沢山いらっしゃいます。現在は私達も販路が充実し、海外からフィジカルを入手すること自体はそこまで難しくないようですが、やはり送料はそれなりにかかってしまうようで悩みは尽きません…。
